コロナ収束後の社会を見据えて

重大な事態

2020年4月23日現在、世界の新型コロナウイルス感染者は263万人に迫る勢いで、18万人以上もの方々が不幸にも亡くなっていると報告されています。そして、その被害はどこまで拡大するか、いつ収束するのかもわからない状況は、社会に大きな不安をもたらしています。人的被害にとどまらず、人と人のふれ合いそのものをリスクとしてしまうこのウイルスは、経済的にも深刻なダメージをもたらすことと思われます。正に戦時中といっても過言ではない社会において、私たちは歴史的転換ともいえる多くの変容を求められています。

多くのライオンズクラブでは理事会や例会を開催することが困難な状況にあり、チームの連携や団結力を発揮したアクティビティの実施にも支障を来たしています。私たちの活動の根幹であるアクティビティができない、アクティビティを効果的に実施するための例会や理事会が開催できないということは、私たちにとって重大な事態であることはいうまでもありません。そして、この状況を看過することは、多くの会員の退会やクラブの解散につながることと危惧しない方はいないのではないでしょうか。

重要なのは「できること」探し

“奉仕ファースト”の根幹にあるのは“We Serve”の精神です。我々は「知性を高め 友愛と相互理解の精神を養い 平和と自由を守り 社会奉仕に精進する」ことを宣誓し、集った仲間です。この状況下で、経済的理由による退会者が増えることも考えなければなりませんが、そもそも「奉仕活動をする」クラブでなければ、集う理由もなくなってしまうのです。私が最も懸念するのは、コロナウイルス禍において奉仕活動を停止したクラブが、その魅力や求心力を失い、退会や解散に追い込まれてしまうことです。地区ガバナーとして、この重大な事態に際し、各クラブ執行部およびメンバーの皆様には、「今、できることはなにか?」について考えていただきたいのです。

地区の「できること」として、神奈川県・山梨県の医療機関にマスクを提供しました。これは日本ライオンズから割り当てられた2万8千枚に、地区で手配した2万枚を加えて提供しています。また、地区の援助金会計より神奈川県に400万円、山梨県に100万円を拠出します。この寄付金は両県の医療機関へ医療資材を購入する費用に充てていただくよう、申し出をしています。これらは県内の医療崩壊を阻止し、コロナウイルス収束に向けて共に戦うためにライオンズクラブができる支援をするという意思表示です。しかしながら、これらの寄付行為は現状に対して十分なもの、また、ライオンズクラブとして実施する奉仕活動として最良のものとは考えていません。それは、私たちの奉仕活動が本領を発揮するのは、地域のニーズをきめ細かに把握し、行政の手が行き届かないところを支援する時と考えるからです。

今後のクラブ運営を模索する“対話と創造”を!

コロナ収束後の社会はどのように変容しているでしょうか。現在「できること」を模索することは、今後の社会を展望することにつながるはずです。メンバー同士が意思疎通を図り、相互理解の精神のもと、活動の立案や審議を諮る例会を現況に適して開催するにはどのような方法があるでしょうか。ソーシャルディスタンスを取り、3密とならない環境での集会は可能か。少人数による委員会活動を充実させることで、密集を避けながらメンバーの総意による意思決定を図ることができるかもしれません。あるいは、LINEやZoomを活用したWEB会議。スマートフォンさえ持っていれば、活用できる手段は多様にあります。特にLINEは、電話と同等に手軽な通話も可能なため、導入しやすいツールといえるかもしれません。また、新しいものを導入することで、年代を越えたメンバー同士の交流が促進されるという好影響も期待できそうです。

クラブ運営にスマートフォンを積極的に利用することは、経費の節減にもつながることでしょう。事務作業のペーパーレス化だけでなく、事務スペースを省スペース化することで、事務局固定費の節減を図ることができるかもしれません。実は残念ながら解散に至るクラブの中で、「このままではクラブ事務局を維持できない」ということが、解散の決め手となる事例が多いのです。これは本末転倒ではないでしょうか。確かに充実した活動を志向する上で、クラブ事務局は重要な役割を占めます。しかしながら、その在り方は多様です。コロナウイルス禍で経済的なダメージが深刻化するのはこれからといわれています。中小・零細企業の倒産件数が増えるということは、メンバーの社業にも大きな影響をもたらすかもしれません。私たちに必要なことは、運営費を低減し、事業費を増強する方策を討議することではないでしょうか。クラブの財政状況を把握し、新たな価値観を取り入れたクラブ運営をメンバー全員で検討することにチャレンジしていただきたいのです。

我々は奉仕する!

今、必要とされる奉仕活動はどのようなものでしょうか。これまで実施してきた児童や青少年育成、薬物乱用防止教育、献血、地域振興…それらのノウハウを磨きなおすことで、現状の制約下でも有効な奉仕活動ができるはずです。

また、地域には我々が支援することで、より大きな力を発揮する可能性があるNPOやサークル、団体はありませんか。地域のリーダーであるライオンズメンバーが、「できること」を持ち寄ることで、素晴らしいアクティビティを創造できるのではないでしょうか。

“We Serve”のWeとは誰のことでしょうか。クラブのメンバー、地域の協力者、協力団体、他クラブ…。チームの力を活用することが私たちのアクティビティの原点です。メンバー数の減少に対抗するためには、Weの範囲を広げて考える。奉仕活動が活性化すると賛同者が増える。メンバーが増えると、よりスケールの大きな活動にチャレンジできる。そしてその過程の中にリーダーシップを育成する機会が生まれる。この好循環を創ろうではありませんか。

今期の地区運営を支えてくれたのはメンバーの皆様です。地区ガバナーとして、各地で多様なメンバーの皆様と対話を重ねてまいりました。多くのクラブはその対話を継続し、これからのクラブ運営を真剣に検討していただきました。各事業の企画、実行、参加、それぞれの過程における皆様の協力が地区を活性化させ、クラブを活性化することにつながっているのです。心より感謝申し上げます。

旧来の慣習から脱却する必要性を感じているメンバーは多くいると思います。今回のコロナウイルス禍は、私たちに変容を迫っているのです。前向きに捉えれば、“対話と創造”のきっかけを私たちに与えてくれているともいえるかもしれません。簡単なことではありません。しかし、コロナ収束後の社会を展望し、現在「できること」を考えるのをあきらめなければ、必ずより魅力的なクラブ運営が創造されると私は信じています。

ライオンズクラブが充実した奉仕活動をすることで、よりよい社会が創造されることを信じています。そして、メンバーの皆様がこの難局を乗り越え、新たな価値を創造することを信じています。

330-B地区ガバナー L 山本 直正

発信:地区ニュース委員会